ライン

都立立川高校第18期第10回 古希を祝う同期会 開催報告

立高18期同期会
 豪雨の予報とは相違して傘さえ不用だった去る11月18日土曜の午後、18期の同期会(一次会、二次会とも)が立川グランド・ホテルにおいて行われた。一次会は、参加者81名が7、8名ずつのテーブルに分散して着席、矢島京子さんと梶原貞幸君の司会により進行した。
 
今回は数名の和装の女性参加者が目を引き、また健康面でのハンディキャップを乗り越えて出席してくれた小林(新井)真佐子さん、酒井(藤原)由美子さん、阿刀田(荒木)俊子さん、西義清君に、同期生は大いに励まされた。

 更に特記すべきは、94歳の恩師井上智子先生が、都内での催しへの参加の後、遠路来会くださり、ご健在ぶりを参加者に印象づけられたことである。

 開会に先立って、先回の同期会以降に逝去された(判明も含む)以下の13名の同期生(卒業時のクラス別)を偲び、全員で黙祷を捧げた。
 A 竹内(石井)純子さん、尾上阿也子さん、飯島勝昭君 
 C 秋田美朗君
 D 妹尾一朗君
 E 大井文昭君、大島寿之君、吉田充君
 F 秋元達三君
 G 宮入宗人君
 H 岡野健次郎君、気賀沢寿人君、渡辺和洋君

 開会の冒頭に、西川和人君が幹事を代表して以下のような挨拶を行った。

 われわれの同期会はこれまでほぼ3年毎に開催してきたが、3年目にあたる昨年は、18期の幹事たちが紫芳会の会員大会を運営する巡り合わせであった結果、今回はいつもより1年だけ長いインターバルで実施されることになった。
 加えて、同期生の事実上全員が本年度中に満70歳に達することから、共に古希を祝うのが今回の趣旨となった。

 われわれが立高在学時に薫陶を受けた先生は、校長と副校長を含めて総計45名、そのうち存命の方は7名となった。
 今回ご出席(予定)の井上智子先生の「長寿を寿ぎたい」と願うこと、切なるものがある。

 70歳台の健康上の壁に言及するのは、古希の同期会に相応しいであろう。長寿を阻む主要な原因が生活習慣上の問題にある60歳台とは相違して、70歳台のつまずきは、認知機能や下半身の衰えに起因する。骨折などによって活動力が阻まれ、寝たきり老人となることが大きいといわれる。脳に適度の刺激を与えつつ運動にも気を配り、下半身の筋肉の衰えに抵抗する決心を固める古希の会としたいと願う。

 青梅市の商工会議所の名誉会頭を務める舘盛和君の音頭により、参加者の健在を祝して一同乾杯した。

 次いで、時実早苗さんから、自身の近著『ポストマンの詩学』(彩流社)の紹介があった。世界の文学や映画を素材として、なじみやすい郵便配達人の諸相を描き出す作業が却って、人間の感情や思考の伝達についての踏み込んだ省察を導く、という読みやすくかつ難解な本と見受けた。

 もう一つ、本報告の筆者(立川明)を編集執筆者の一人とし、大学の起源からその現在の諸問題まで網羅した『大学事典』(平凡社、来春刊行予定)の概要も披露された。

 太田啓一君からは、立高野球部OB会が、マスターズ甲子園大会の本戦出場をかけて毎年奮闘している様子が、かなりの臨場感をもって報告された。池田紀芳君は、季節ごとに各地のバラ園を訪れて鑑賞を楽しむ同好会の活動を、女性を中心とする同期生の参加者数名とともに紹介し、同会への新たな参加も呼びかけた。ゴルフ愛好者からのアピールにも根強いものがあったが、熱心な割にはバラへの誘いに比べやや香りを欠いた点、惜しまれる。今後の紹介の一層の改善工夫に期待したい。

 報告の締めくくりとして、18期を代表して紫芳会理事を務める宮嵜和夫君から、この同じ会場で毎年開催される会員大会に始まり、現役の立高生向けの奨学金の募金と授与まで、紫芳会の主要な活動の紹介がなされた。中でも奨学金の募金活動は、宮嵜君による紹介の後、実際に会場で繰り広げられ、6万円を集める成果を挙げた。すでに紫芳会へ18期同期会からとして贈呈済みとのこと、報告申し上げる。

 報告に続いては、各テーブルに座った面々の間、更にはテーブルを渡り歩く参加者たちとの間でも、旧交を暖めるさまざまな交流がしばし続けられた。

 一次会の最後に、参加者全員で立高にちなむ歌を合唱し、また宮地忍君の先導(煽動?)でフレーフレーの雄叫びを響かせた。校歌を含むいくつかの懐かしい歌の斉唱は、高校時代とは相違して、先立つ行事活動を欠いたせいか、夕刻のムードからまだ遠かったからか、はたまた古希の年齢のせいか、やや精彩を欠いた。村本卓生君をはじめ優れた合唱愛好者が多い18期であるから、今後は更に工夫を重ねたいものである。他方、宮地君は、古希を思わせない元気ぶりで、アグレッシヴなその高校時代を彷彿とさせた。なお、フレーフレーの締めくくりは、特別に井上智子先生に捧げられた。
 * * * * * * *
 二次会は同じグランド・ホテルの2階カサノバグランデに会場を移し、67名の参加を得て行われた。

 テーブルの着席は同様であったが、今度は、太田啓一君を進行役として、テーブルごとの歓談の時間と、参加者に向けて一人ずつスピーチをする時間とを、交互に設ける方式であった。

 自由な歓談を20分間、次いで卒業時のAH組の参加者全員がひとり1分のスピーチをするための20分、というサイクルを4回繰り返した。1分X67(名)<20分X4(組)の不等式を訝る向きもあろうが、70年の人生に対し、1分の時間はさすがに短過ぎたようである。太田君のご苦労に感謝。

 いずれの1分もそれなりに濃厚な内容であった。以下順不同でいくつかを紹介したい。

 今回の同期会では和装の女性が目立ったが、その一人宇津木まやさんは、同期の嶋田君枝さんから30回着れば身に付くと勧められた。今回は101回目にあたり、皆さんに褒められて回数の重要さを再認識したという。母君から和服を受け継いだ参加者も含め、いずれの着付けぶりも踏んだ回数を思わせた。一方、30回着用を助言した嶋田さんはこの所、着物とはやや距離のある女性の就労支援のプロジェクトの立ち上げ準備に余念がない。女性への有効な支援は、人生と職業上の経験を重ねた女性のみに可能だとの信念のもと、現在適宜に仲間を募集中であるという。

 仕事となると、当然男性にも話題は多かった。兼子孝夫君や坂本信治君をはじめ、今なお企業の責任者に留まり活躍中の同期生も少なくない。

 しかし、一度は第一線から退いた後、使命感に燃えて、第二の職業人生に奮闘する事例も目立った。宮本宏君は、生命科学の研究という第一の人生から、現在はつくばに国際学会を招致するという容易ならぬ仕事に全力投球している。その一環として、数千件にのぼる諸学会のデータベースを独力で作り上げたという。医学書院を退職した宇津木利征君は、文字通り単独、看護書を出版するすぴか書房を経営している。出版業の不振はとりもなおさず文化の衰退だとの危機感を支えに、困難な事業に挑戦し続けているという。研究中心の仕事から退いた鈴木克己君は、古希を祝ったわれわれには差し迫った一大事である高齢者のケアに携わっている。既に年老いた両親を通してケアの意義を実感し、身につまされる思いを共有する同期生は、報告者を含めて多いはずである。

 但し、こうした現実を直視すると、多少とも体が硬直し、肩もこることは避けられない。そうした事態も察知してか、酒井(藤原)由美子さんは、ご自分の健康上の経験も活かしてであろう、全員の参加を誘って肩こり体操を手際よく指導し、体のこりを和らげてくれた。

 過去を振り返り、今後を見据えたスピーチを最後に取り上げよう。

 同期生の何人かは、立高時代の思い出を、飾ることなく率直に明かしてくれた。中でも、あきるの市で歯科医を営む高取真史君の進学にかかわる回想は、立高での進学指導の盲点をつき、今日の校長や先生がたにも是非伝えたい内容であった。すなわち、かつて同君が大学の医学部(歯学部)への進学を相談した際、偏差値一辺倒の方針に立っていた学校側が、生徒の志望する専門職と連動するような相談に、全く対応してくれなかった(用意がなかった)という指摘である。果たしてあの時以来、立高での進学相談は変貌を遂げたのだろうか。

 近未来の方角に目を転じると、同期生の多くにはなお十数年から二十年が残されている。そうした時間をどう用いるか、看過できない課題である。

 不動産鑑定士である村上民夫君は、森友学園への国有地売却価格の値引額が合理的根拠を欠く点について、熱く語った。現役として獲得した専門資格や経験に基づいて、年々の出来事につき、周囲を啓蒙するのも古希を経た者の重要な役割ではないだろうか。武藤伸太郎君は、仏像の彫刻を趣味としているという。仏教への理解が体験的に深まる面とともに、刻む側の人間性が顕在化する、年寄りに相応しい(はずの)作業だという。伊賀千栄子さんは、今後十数年を頑張ることで、ひ孫の顔さえ見られるのではとの期待を表明した。

 確かに、同期会の主目的は旧交を暖めることであるとしても、世代間を緩やかにつなぐことも、大切な役割であろう。今後は特に、われわれの子ども、孫、更にはひ孫のために何が出来るのか、小さい事柄でも模索すべきかもしれない。
(立川明記)


当日の写真について

過去の同期会では、スナップ写真と全体写真は、同期会参加者個別に
印刷して送ったり、CDに焼いて送ったりしておりましたが
今回からは、参加者した方たちへ、インターネットを利用して配布することになりました。

@ 以下のURLにアクセスし、(別ページが開きます。)
   http://30d.jp/tachiko-18ki/1
A 合言葉(当日配布した資料にあるパスワード)を入力してから、
B 「アルバムを見る
  をクリックしてください。

プリントしたい写真は、このサイトから、直接プリントを依頼し、郵送してもらうか、
(各自ダウンロードし、USBメモリなどに保存してから)
町の写真印刷サービスでプリントするなりしてください。

このアルバムは、2018年1月3日まで(30日間)有効でしたが、希望があり、
現在、延長中です。

ライン

ページトップへ         トップへ サイトトップへ